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バカな犬ほど可愛くて 英田サキ ill.麻生海
発売された当初、英田さんなのに評判悪いなぁと眺めていた本でしたが、
古本屋でたまたま目に入ったので購入したところ大当たりでした。
英田さんの作品で初めて純粋に楽しめました。

タイトルからしてヘタレワンコ攻めなのです。
が、今の私には何故かワンコ属性が皆無な故、そこには全く反応しませんでした。
(発売当初はワンコ萌えしていたのにヘタレ攻めがダメだったり 笑)


ヘタレワンコ後輩×ゲイの先輩。

ただのヘタレ攻めだったらなぁ…と口惜しい思いも束の間、
受けのゲイの先輩・成瀬の、片想いと先輩としてのプライドの狭間に揺れながら
好きな男のために面倒見のいい先輩を演じきったいじらしさに完敗。
他の男を好きになった、上手くいくよう助けて欲しい
という片想いの相手を胸を痛めながら磨きたててあげる。

一人称進行なのがすごく効果的でした。
いい子ぶりっ子にならない。
辛い想いに胸を痛め、葛藤しながら、
自分の方に振り向くように仕向けたい衝動を抑えて
自虐的な思いを振り払い、後輩に協力してあげる成瀬に切なさが止まりませんでした。
それに、英田さんって飾らなくて、
下品な言葉も不自然にならない台詞回しのセンスがすごく上手い方ですが、
一人称進行によってその長所がたっぷり活かされていて、
文章自体にも面白味があって読んでいてとても楽しかったです。

そして、あらすじを読んだ方なら99%心待ちにしていたであろう
Hの練習。Hの指導。
これは大変たまら代物でした……!
練習なのに感じちゃダメと分かっているのに好きな男に触られて我慢できない、
けれど、へたくそな童貞筆下ろしの後輩のために
優しすぎる言葉で快感の与え方を一生懸命指導してあげる。
でも、そうすることで余計に乱れて。

…………萌えるしかないと思うんです。
好きな相手に他の想い人がいる切なさと体だけの関係の虚しさ、
それでも体だけでも手に入れたいと思ってしまった成瀬の浅ましさ、
全ての想いをぐるぐるさせながら自己嫌悪と快感に溺れた
一度きりのセックスは大変美味しゅうございました。

体だけの虚しさに耐え切れなくなった成瀬は
口論から苅谷と関係を絶つことになってしまいます。
ワンコ攻めに萌えはないと書きましたが、
捨てられた大型ワンコの寂しそうな目の眩しいこと…!
つーか泣けよ、と思ったのは置いとくとして
好きな男と面倒見てくれていた優しい先輩と、
どちらかを選ばないといけない苅谷のやりきれない想いに思わずキュンとなりました。

だって…だって…
本当は成瀬のことが好きだったなんて微塵も考えなかったんですもん!
私の萌とキュンを返してくれ。
この作品って読み方によって楽しめるかどうか全然違うのかもしれません。
私は何も考えずに読んでいたので後輩の真意は全く気付かなかったのですが
予想しながら読んだ方には茶番に見えるのかもなぁ、と。
ただ、それはそれで飼い犬に手を咬まれるが如く騙された
哀れな先輩に悶えるのが得策だと思われますが。

この告白に一番お怒りなのはもちろん成瀬で激昂します。
ただ、この場面がどうもダメでした。
一発殴るならOKでも殴る蹴るを重ねられると引きます。
ここさえなければ、大好きな作品なのに、残念でなりませんでした。
成瀬の人柄が好きだったので余計に。

最後、微妙なところはありましたが、すごく面白く読めました。
やっぱり英田さんはキャラクター作りとエロの会話のツボの心得方が秀逸です。
ハードボイルドでストーリー、シチュをキャラクターを曲げて萌えさせようとするよりは
日常系のお話の方が合っているんじゃない…かなぁ。
[BL小説]英田サキ | 21:52 | comments(0) | trackbacks(0)
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