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恋の行方は天気図で うえだ真由 ill.橋本あおい
すっごくよかった!
うえだ真由でディアプラス、ほのぼのBLは今のところはずれ全く無しです。
切ない系作家の位置付けが多いうえださんですが、
ほのぼの中に組み込まれる地味だけれど誰にでも経験があるような
苦くて切ない想いの描写がずば抜けて上手い方だと思いました。


高校生時代、同性の親友に抱いた初恋は伝えられることはなく
卒業と同時に逃げ出した自らによって終わりを迎えます。
大学、就職と初恋を忘れて過ごした東京で
天気予報士の資格をとり、夢の実現、そして挫折を迎える。
一時の安息を求めて帰省した先で思わぬ出来事から
忘れたはずの彼と7年目の再会してしまう――

初心だった高校生の頃、あんなに悩み苦しんだ初恋は
相手の親友も実は…という展開で早々に両想いとなります。
このときの車内での告白シーンにゾクっとするほど萌えたのは置いといて、
このお話は数年越しの初恋が実る、がテーマじゃないんですよね。
壁にぶち当たり、挫折を味わったお天気お兄さんの成長物語です。
両想いになっても切なさは全く消えない。
むしろ体を重ねた翌日からやりきれなさが募っていきます。

仕事をやめる、という逃げを許してくれない。
親友から恋人になった男は、真っ直ぐな強さを残したままに
野球少年から大人の男へと魅力をそのままに成長しています。
甘い夜を過ごした翌朝、体を壊すまでに溜め込んだストレスが噴出し
泣きじゃくりながら東京に戻りたくない、仕事を変えたい、と訴える柚生に
優しく慰めてくれる言葉はありませんでした。
ただ「頑張れ」という言葉を残して恋人は去っていきます。

挫折を知らない強い人間にこの想いは理解できないんだろ―
そう嫌悪感を抱いてしまいそうな場面ですが、違うんです。
攻めの知明もプロ野球選手を諦めなければならなかった挫折、
片想いしていた同級生に一方的に連絡を絶たれた苦い思い出があるんです。
それを乗り越えられたのはテレビに映る柚生の頑張る姿があったから。

無骨で無愛想だった野球少年は
同性に対してストレートに愛情を囁ける男へと変貌していました。
私がこの作品がすごく素敵だと思った理由の一つに
この作品は受けの成長物語ですが、攻めの成長物語でもあるんです。
好きだ、真っ直ぐに伝えられる言葉の裏には
言葉が足りなかったために実らせられなかった初恋のほろ苦さがある。
二度と後悔はしたくない、と饒舌に喋る明るい男に
私は常に切なさを感じていました。

そんな男が選んだのは傷付いた柚生を優しく包みこんであげる、ではなく
「頑張れ」という残酷な言葉でした。
柚生の夢を知っているから、その笑顔に救われたから、
諦めて欲しくない、と。
泣く柚生を慰め、新しい仕事を探す姿を見守ってあげれば
柚生との恋愛も全てまるく収まるはずなのに決してそうしない。
酷いな、と泣き笑いしそうになりました。
でも、こんな場面で叱咤激励してくれるひとってそうそういないですよね。
相手のことを大切だという想いが丁寧に伝わってくるんです。

結局、柚生は東京に戻ることは有りませんでしたが
地元でお天気お兄さんとして魅力あふれんばかりに復帰します。
そして、ようやく自分から好きと伝えられるんです。
大人になった二人のセックスには初々しさはありませんが、
それ以上にお互いに成長し合って大人になった喜びがあって
とっても素敵でした。

それにしても、うえださんは両想いになってからの
ラブラブエピソードを書くのがすごく上手いですね。
基本私は両想いになってからは急速に興味を失うのですが
さり気ない仕草や出来事でこんなにキュンキュンするのは初めてかもしれません。
美人女子アナに思わず妬いてしまう場面とか
知明の野球している姿を熱い視線で見つめる姿を
カメラに撮られからかわれる場面とか可愛くて大好きでした。


実は、仕事描写が多い話は好きではなかったんです。
だって恋愛メインで読みたいんですもん。
だからこの作品にも期待してなかったんです。
そんな私の浅慮と予想をはるか彼方にふっとばしてくれました。
橋本さんの爽やかなイラストも作品にあっていてとてもよかったです。
大満足の一冊でした。
ああ、でも夢を諦めて転職、は全然逃げじゃないと思っていますけど、ね。



そろそろと振り返ると、知明がにやにやしながらこちらを見ていた。
「…何」
「いや?あんな目でひたむきに見られていたなんて、
俺って愛されてるなーと思って」
「だ、誰が。普通に見てただけじゃん。ひたむきって」
「照れんなよ」
「照れてなんか――」


元無口な野球少年、なところに萌えが。笑
さて会話が途絶えた理由はなんでしょう。

_,慧櫃気譴拭
押し倒された。
2,慧櫃気譴拭
[BL小説]うえだ真由 | 21:17 | comments(2) | trackbacks(1)
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- | 21:17 | - | -
こんにちは。コメントとTBありがとうございました。
私は仕事描写が好きなんですが、(笑)お天気お兄さんものって、あんまりお仕事してるところとか、仕事で悩んだりとかいうのがなかったんで、もっとお天気キャスターならではなお話が読みたい!と思っていたので、小躍りしました。
お話的に東京に戻って遠距離恋愛となるのかと思ったんですが、東京へも戻らずだからといって夢も恋もあきらめなかった柚生と、そんな柚生を励ます知明にキュンキュンさせられました。
TBお返しさせてくださいね。
| あすた | 2008/02/13 1:42 PM |
あすたさん、こんばんは!
私もこれから頑張って(?)お仕事描写ある本も勉強します〜。笑。
お天気お兄さんについてはまだ二人目だったのですが、
確かにお仕事で悩むイメージはなかったです。
爽やかで癒しキャラみたいな。

都合がよすぎるでもなく、後味悪いわけでもなく
地に足の着いた終わり方がすごくよかったです。
恋愛も仕事も、この二人の有り方が好きだなぁ。

TBお返しありがとうございました!
| puri | 2008/02/14 8:09 PM |
It comments.









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