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聖なる黒夜 上下 柴田よしき

聖なる黒夜〈上〉
聖なる黒夜〈上〉

柴田 よしき
聖なる黒夜〈下〉
聖なる黒夜〈下〉

柴田 よしき

一般書ですが男×男です。私も当初は半信半疑で二次萌えな気分じゃないんだけど、と思っていましたが読み始めてびっくり。主要人物が皆バイかゲイです。もちろん男性同士の性描写もありました。主人公の相手も男です。
…もうBLでいいのでは。

2冊合わせて4.5cmとかなり分厚いのですが一気に読んでしまいました。ストーリーもさることながら人物描写が圧巻です。6時間のめりこんで読みふけりました。まだ興奮覚めやらぬ状態です。ありえないほど面白かった。

事件性に関してはネタバレ控えめで感想いこうと思います。

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正直、恋愛というか登場人物の心情面を重視で物語を読む人間なので事件性にはあまり興味はありませんでした。(最近BLしか読んでいないもので。悪い癖ですね…)特に上巻の前半「起」となる部分はどうしても説明的であったりするので面白そうではあるけど、はまりきれない。そんな煮え切らない状態だったのですが、中盤山内練の登場回数が増えてきたあたりから急速に面白くなりました。そこからは登場人物たちの愛・憎悪・正義が激しく入り混じった泥沼の関係ももちろんサスペンス部分も二転三転しどっぷりのめりこんでしまいました。予想通りでも、予想外でもどちらの展開となっても心地よい裏切りが気持ちいい。久々に大作というものの持つ魅力を感じさせてくれる作品に出会えたように思います。迫力に圧倒されました。

私が期待した心理面ですが、こちらも文句なしに面白い。麻生龍太郎・山内練の主役二人だけでなく麻生の元恋人で同僚の及川純、殺害された練を囲っていたヤクザ韮崎がみな相手を殺したいほど憎み、そして愛している。殺したいほどっていうのが比喩に終わらないのが強烈です。実際に4人とも愛する相手を殺そうとします。愛する余り嫉妬、執着、復讐といった負の感情に雁字搦めになっていく。それに苛まれる男たちの苦悩、葛藤、切なさ、純愛が痛いほど伝わってくるのがいい。

麻生と練の関係も憎悪が基盤にあります。誤認逮捕で冤罪を被せられた練は救いの手を差し伸べたように見せて自分を突き落とした麻生を憎み、麻生はその負い目から逃げられない。麻生は人の気持ちに対して鈍感ですが、強い人間です。決して人に頼ろうとせず、自分の信念に頑な。その信念故に警察内で馬鹿にされるほど慎重に捜査し証拠を重視し、冤罪を嫌っていました。そんな彼が唯一犯したあやまちの結果一般人であった練を男娼、果てはヤクザのヒモにまで叩き落した。しかも罪悪感に苛まれる中で麻生は練に欲情している自分に気付くもそんな自分を簡単には認められません。一方練の方はもっと素直です。自分をヤクザの世界に沈めた男だけれど、麻生の不器用さ、誠実さ、それでいて卑怯なところに惹かれて行きます。偽者であったとしても自分をどん底から掬い上げようとしてくれた一場面が彼には大きい意味があったのでしょうか。練の麻生に対する想いは純愛でした。けれどお互いに惹かれていても決して過去のトラウマは消えない。それどころか練は麻生に復讐をし、それが麻生を徹底的に傷つけることになります。想いが通じ、身体を重ねた後でその幸せな時間を自ら壊し去っていく練が悲しすぎて、練を殺したいとの激情を抑え彼を迎えに行った麻生に心底ほっとしました。練の最後の質問と涙、ヤクザを好きでやっていると豪語していた彼の10年間の苦しみに泣かずにいられませんでした。同時に麻生の覚悟が痛い。彼の口にした返答は今までの刑事人生を覆すものだったでしょうから。恋愛に対して無自覚に不実という性質の悪ささえなければかなりいい男なのにな、と残念でなりません。及川とかもう可哀相で仕方なかったのですが。(萌えますけれど)どうしても練には幸せになってもらいたいけど麻生で大丈夫かなと少々不安でしたが、文庫版で下巻に追加収録された小話を見るとなかなか新婚気分でやってるようで一安心です。家族公認でラブラブ。二人のやりとりは短かったけれどすごく幸せな気分になりました。ちゃんと一緒にいるんですね。追加分といえば上巻に収録された「歩道」、練初恋!?どんだけ罪作りな男なんだ、麻生…。でもそういう欠陥があるからこそ麻生にも惹かれると思うと複雑です。

脇キャラもすごく立っています。麻生は鈍感という名の不実さを持つ男ですがその最たる被害者は及川でしょうね。麻生撃たれても仕方ないよ、と思わず呟いてしまいました。当時の愛は錯覚だった、これほどひどい言葉があるんだろうか。そんな裏切りを受けてもなお麻生を愛し、麻生が練を殺すといった時に代わりに俺がやると言ってしまう及川が切ない。彼も可哀相なほど純愛です。彼が一番激しい想いを抱いてるのかもしれません。練の考察からすると、先輩後輩の上下関係、プライドを捨て麻生がタチ、及川がネコだったらきっと二人の関係は破綻しなかったんじゃないかと思うとさらに及川が哀れになります。麻生のために刑事生命も命も惜しまない男が男としてのプライドに縛られて一番大切なものを失ってしまった。全く報われません。少し麻生の弁護をしてみると、本当はきちんと及川を愛していたんだと思います。でも性癖のちぐはぐで愛だと気付けなかった、ただそれだけだと思います。だから及川もう次の恋で幸せになってくれ…。

何はともあれ大変面白い作品でした。ヤクザもの、サスペンスもの、刑事ものがお好きな方は是非ともお勧めです。萌え萌え言ってたら作品の雰囲気を壊しそうな上やたら長くなってしまいそうだったのであまり書いてませんが、ものすっごく萌えました。私の中では今年読んだmyベスト1になりそうです。
[その他]柴田よしき | 05:05 | comments(10) | trackbacks(5)
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- | 05:05 | - | -
ああ…、ぜひ「聖母(マドンナ)の深き淵」と「月神(ダイアナ)の浅き夢」もお読み下さい。麻生と練のその後が垣間見えます。ただ、小説自体は村上緑子という警部補が主人公で、脇役として出てきます。
| ぽわこ | 2006/12/08 5:18 PM |
ぽわこさん、初めまして、こんにちは!

情報ありがとうございます。
シリーズものだとは聞いていたのですが
どういう風に登場するのかわからず迷っていたんです。
でも、その後が見れるということで早速ポチってきました。
ありがとうございますね!

麻生と練いいですよね。私もすっかりはまってしましました。
読み終わった後も何度も読み返してしまいます。

では、コメントありがとうございました!
| puri | 2006/12/09 1:10 AM |
こんばんは〜。
TBさせてもらいました。そしてリンクも♪

もう、私の言いたいことをズバッとここで書いてらして、すっきりしました。
そうですよね!及川がネコならば!!と私も悶えました。

>本当はきちんと及川を愛していたんだと思います。でも性癖のちぐはぐで愛だと気付けなかった、ただそれだけだと…

puriさんのこの言葉で救われた気になっちゃいましたよ。
ほんの一行でも、麻生が及川への気持ちを認めてくれてたら…と!!
練もいいですよね〜。かなりドン底なのにあの強かさが好きです。
ほんと、聖なる黒夜のキャラはみんなたってて素晴らしいですよね!
図書館でかりた本だったんですが、文庫で買うことに決めちゃいました。
BL本を買うような気持ちで買います(笑)
| 霜月うまれ | 2007/01/01 11:17 PM |
霜月さん、こんばんは〜。

リンクにTBありがとうございました!

腐女子的には麻生×及川ははずせませんでした。
練も大好きなんですけど、及川が一途すぎるほど一途なせいで可哀相で仕方なかったです。麻生は自分の気持ちにも鈍感な男なのできっと愛はあったんじゃないかなぁと信じています(笑)

そんな超鈍感な男でさえ大好きですが。
聖なる〜はほんとどのキャラもいいですよね〜。

是非文庫でかって家でムハームハーすべしですよ(笑)
これからもどうぞよろしくお願いしますね!
| puri | 2007/01/03 4:19 AM |
こんばんは♪
puriさんの感想を読んで以来、気になっていたこの作品をやっと読みました。
なんか、うまく感想が云えず、凄いの一言しか云えません。
だけど、puriさんのおかげで、いままでスルーしていた柴田作品の面白さを知ることができました。
ありがとうございます♪
麻生と山内の登場している本を少しずつ読んでいこうと思います。
今月末の新刊も気になりますし〜。
TBのほうもよろしくお願いしますね♪
| はーこ | 2007/01/19 11:50 PM |
はーこさん、こんばんは!
この作品大好きなのでそう言ってもらえると
本当すごく嬉しいです。

いや、本当凄いの一言ですよね。
私も読んだ直後放心してました。
その後萌えシーンにやけながら読み直しましたけど(笑)

「聖母〜」も「月神〜」も二人が好きなら断然お勧めです。
携帯小説の方も短いけれどラブラブでいいですよ〜v

TBありがとうございます!
お返しに参りますね。
| puri | 2007/01/20 1:22 AM |
puriさん、こんばんは&お邪魔します。

この本、これが一般書なんて驚きますよね。
私は元々ミステリーが好きで、さらに腐女子なので、以前から高村先生は読んでいました。
でも、これはもうそんな“ホモクサイ”とかいうレベルじゃなくて、もう「この萌え、一体どうしてくれよう!」と読みながら悶えました(笑)

脇が皆良い味出してますね。
及川、私も彼が素直に麻生を受けていたら…と思います。
一途で不器用で天の邪鬼…そんな及川が可愛くてたまりません。

>麻生は鈍感という名の不実さを持つ男ですが
麻生…鈍感なのに色気を振りまいて罪な人だ(笑)
心は鈍感だけど、身体は正直に山内を求めて押し倒す場面が好きです。
そして、ようやく素直になったか!と、にやけました(笑)

あぁもうこの作品に関しては、話したいことが満載で困ります!
かなり出遅れましたが、他の作品も読んでいこうと思います。

TBさせていただきますね!
これからもまたお邪魔させていただきます〜。
ではでは。
| にゃんこ | 2007/05/06 1:59 AM |
にゃんこさん、こんばんは!
私もBL本に走る前はミステリー好きなのもあってこの本は本当面白かったです。
一般書でマジホモが読めるとは…!
萌で息苦しくなりながら読みましたよ〜。
しかも本当分厚い(笑)

及川がお好きでしたら「所轄刑事〜」お勧めです。
私も何年ぶりにハードカバー新品で買ったことか(笑)「聖なる黒夜」ほどの濃厚さはありませんが、破局の結末を知ってしまってるだけに二人の掛け合いが全て切なかったです。

麻生は本当罪作りですよね。
練も及川も振り回されて本当可哀相で…(笑)
でも強さも弱さも兼ね備えた親父が苦悩してる姿がへたれ親父好きには本当たまらんかったです。この後の作品で頑張るおっさんが見れるのでいつかリコのところをさら〜っと流しつつ、読んであげてみて下さい(笑)

麻生と練の甘い生活が見たいときは
ケータイ小説もお勧めですよ〜。

って、なんだか押し付けがましいセールスマンみたいなレスですみません。
私もはまったのが遅く語れる場が少なくて悶々としているのでまたいっぱい語りましょ〜v

TBありがとうございました!
| puri | 2007/05/06 9:36 PM |
ぷりさん こんにちは

ご無沙汰しております。
以前こちらでこの「聖なる黒夜」のレビューを拝見して
是非一度読んでみたいと手に入れて積ん読本にしてしまった
この本がようやく読めました。

一気に読み切ってしまったほど引き込まれたお話でした。
もちろん主人公達や及川などゲイの男達の話に萌えましたが
女性達の描写も非常に魅力的でしたね。
それがBLを読み慣れた目には新鮮に映りました(笑)

早速麻生と練が脇役で出てくるシリーズにも嵌っております。

素晴らしく楽しめる本をご紹介していただいてありがとうございました。
勝手ながらTBさせていただきましたのでよろしくお願いします。
| 摩緒 | 2008/12/14 10:03 AM |
摩緒さん、こんばんは!

ああ、この作品は本当に凄いですよね…!
私も何時間も読みふけったあの興奮が忘れられません。
どっぷり遣ってしまい、読み終わったときには息も絶え絶えでした。

どの登場人物たちも心情に深く深く切り込んでいて
本当に魅力的で本当に面白いと思える作品でした。

今でもずっと大好きな作品なので、
私の記事で読んで頂けたなんて本当に嬉しいです。
ありがとうございます。TBもお返しに参りますね。
| ぷり | 2008/12/14 8:48 PM |
It comments.









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