蛇恋の禊 沙野風結子 ill.奈良千春
2008.05.07 Wednesday | author : ぷり
番外:蜘蛛の褥
平凡な美大生からヤクザの跡取りとなった凪斗と
彼と一生添い遂げることを選んだ補佐の角能の続編です。
素朴な大学生の体の中に流れるヤクザの組長の血。
この二つのせめぎ合いに苦しみながらも脱皮していく子蛇ちゃんの成長物語です。
恋と忠誠心と畏怖と、そして絵への執着を絡ませた
濃厚だけれど純粋な心理描写はさすが沙野さんというところでしょうか。
大切な人を傷つけたくないために逃避に走る凪斗の苦悩は
ありきたりなパターンながらも角能との「初恋」を描いた絵への病的な執着と
彼の奥に潜む凶暴な極道の本性への不安と期待から飽きさせない。
そして、それ以上に前作で完璧だった角能の葛藤がとても面白かった。
昔の思慕へ走り、凪斗を組長へと育てようとする自分を見ない凪斗への
激しすぎる苛立ちと抑えきれない嫉妬で暴走しながらも
彼もまた凪斗との「初恋」をとても大切にしていて。
愛しい人がいないと生きられないのは、むしろ角能の方。
自分を写さない凪斗へ向けた彼の決断を見た瞬間、震撼しました。
「俺のことも、もうどうでもいいわけだな」
「え…」
次の瞬間、凪斗は喉が裂けるような悲鳴をあげていた。
奈良さんの挿絵が怖かった。
作風が変わりすぎてて、角能も凪斗も馴染めないなぁ…と
マイナス評価だったのが、ふっとびました。
この迫力はすごい。
凪斗への執着とその根底にあった純粋な恋が選ばせた決断に
ぷりは本当に全身に鳥肌が立ちました。
その切なさと絶望の深さに胸が苦しい。
この場面を見届けるためにここまで読んで来たんだと思わせられました。
触手エロ、強姦、近親相姦と濃厚プレイも盛りだくさん取り揃えられていますが
それより何より心理面の濃さが楽しい一冊でした。
組長とその補佐としての二人の活躍はまだまだこれからですが、
彼らの恋は見届けたと思います。
お互いに命を懸けて一生添い遂げぬくんだろうなと。
「俺は肌に刻まれたおまえの想いを、生涯抱きつづける」
僕のねむりを醒ます人 沙野風結子 ill.奈良千春
2008.02.17 Sunday | author : ぷり
内容よりまず電子BOOKという形式は読み辛く、割高感も強い。
私の購入した電子書店では850円で表紙以外の挿絵無し、後書き無し。
紙版での定価が900円ということを考えると、なんだかなぁと。
挿絵に関しては以前購入したものはきちんと挿入されていたと思うのですが
何故省略されていたのでしょう…。
省くならその旨をきちんと購入前に分かるようにして欲しかった。
奈良千春というイラストレーター名が入った表紙で売るならば、です。
絶版となった作品もちらほら並んでいたのでそういったプレミア本が
気軽に購入できるというのは大変便利と思いますが、
逆にそれ以外のBLを買おうとはなかなか思わない。
何故か横書きに直されているのも気になりました。
前振りが長くなったので、感想は畳みます。
天獄の雨 沙野風結子 ill.ひたき
2007.09.04 Tuesday | author : ぷり
ヤクザ×麻薬取締官。
やっぱり文章が好きです。
暗すぎないグレイな雰囲気に浸りきれるのも心地よかった。
痛い話なのに読後感が悪くないのはヘタレヤクザの可愛さの成せる業?
Poison Rose 沙野風結子 ill.すがはら竜
2006.11.12 Sunday | author : ぷり
ポイズンローズ ラキア・スーパーエクストラ・ノベルズ
沙野 風結子,すがはら 竜
こじんまりと一人沙野さん祭り進行しております。
これはまたなんとも読後感が不思議な本でした。
挿絵もPOPだし、お家騒動ものからコメディかと思っていたらシリアスでした。
設定も少し痛いです。攻めがまともな性格してません。
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